
ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)
評価:★★★★☆
のめり込んだ一章、二章あたりまでなら確実に★4なんだけれど、中盤以降現実に引き戻されてしまったので★3に近い4に…って結局★4なことに変わりはなかった。
最近のラブコメ大盛況っぷりにはうんざりなので、こういう作品は貴重。
一章、二章の短編は久々にトリップできた。
芸術が規制された世界が舞台。
章ごとに絵画と語り手が設定されていて、その語り手の人生を軸に据え静かに絵画を語っていく。
落ち着いていながらも、章の最後にきまる「芸術に、その自由を!」という場面から、作者の絵画に対する熱い想いが伝わってきてこちらまで熱くなる。
この熱さは杉井光さんの「さよならピアノソナタ」に似たものである気がした。
反面、中盤以降物語を追う視点が脇役から主役に移り、ヴァンダル VS インターポールの構図が明確になってきたあたりからは現実に引き戻されてしまった。
今まで脇役視点で見られていた主役達が突然身近な存在になったこと、主役達を描く時間が少なく感情移入できるような材料が少なかったことなどが原因ではないかな…。
いっそ最後まで脇役視点から主役達を描き続けて、ヴァンダルの目的については伝記物のようにして終わらせてしまってもよかったのでは。
前半の流れはとても好みだったので、次回作にも期待。
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